「風のささやき」
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四国88か寺めぐりパート3 「歩き遍路」-第2回目- |
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文 : 郷原 秀昭さん イラスト:はまだひろこさん |
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四国88か寺"チャリ遍路"、"カー遍路"、ときていよいよ"歩き遍路"(今回は第2回目です)。郷原さんの感想では『遍路は歩きに限る』とのこと。歩きならではの、地元の人々との触れ合いをお楽しみください。 3/22(金)雨 【行程】72番曼荼羅寺、73番出釈迦寺、74番甲山寺、75番善通寺、76番金倉寺、77番道隆寺、78番郷照寺 46,273歩
6時半宿出ると野犬5匹が見送ってくれた。宿のサ−ビス不足を補う積りかなと思ったが正直余り気持ちの良いものではない。それよりも嬉しく頬が緩んだのは鶯の挨拶である。数羽が互いに呼応しあってホ−ホケキョの輪唱でこちらも懸命に口笛で真似て挨拶返したが悲しいかな通じなかったようだ。
編集後記 : 歩き遍路・続編は随時掲載予定です昨日も感じていたのだが山々の姿が歩き続けていると次第に変ってくるのに新鮮さを感じた。眺める位置、角度により山の佇まいが変り雰囲気も変ってくるのに改めて気付いた。 曼荼羅寺にはお大師さんお手植えと伝えられる不老の松がある。別名傘松とも呼ばれている有名な松だが松喰虫に犯されている姿は見るに忍びない。名樹医の手で復活できる事を祈って浄財を奮発した。一方中央の桜は元気溌剌、7分咲のあでやかな姿に滅入った気持ちが救われた。 出釈迦寺の門を潜ると蝋梅(と思う)が清楚な紅白の花をつけており心が和んだ。 第75番善通寺はつとに有名で人出も多く、納経所では若い三人の女性が愛想良く筆を走らせており事務所のような雰囲気が漂っていた。 金倉寺の納経所で道を尋ねたら「何処からきたのか」と逆に聞かれた。境内に入りぐるぐると周ったのでキョロキョロ見回すと自分の来た道も分らんのかと言われ、私の手にしていた冊子を指差しその地図どおりに行けばよいと的確なお答えだった。金倉寺には二度とこんぞう!とつい腹の中で叫んで早々に立ち去ったが又も修行不足を味わい自戒した。
私は感ずるところがあって白装束、杖、菅傘のフォ−マルな遍路衣装は一切着用してこなかった。地元の人に余計な気を使わせないようにお接待も遠慮する気持ちも強くあった。 少し戸惑ったがお寺からのお接待であり素直に「有難うございます」と受け取った。 冷たいヤクルトは喉を潤し普段より5倍くらい美味しかった。 道中枇杷の木をよく眼にしたが萌黄色の若葉(新芽)が柔らかそうで純粋無垢な子供が合掌している姿に見えた。よく見ると周りの草木も一斉に新芽をふきだしているのに気付いた。かの有名な「歩き・芽出す」の法則再確認した次第である。(オイオイォィ) 本日の打ち止めは郷照寺、親近感を覚えたが急坂と階段には些かウンザリした。 昼過ぎ予約しておいた宿、探して歩いたが行き止まりの寂しい墓場に迷い込んだ。 落胆したら足の方も気落ちしたのかジンジンと痛みが沸いてきた。 足を揉みながら休憩していたら丁度墓掃除にきた人と出会い道を尋ねた。入り組んだややこしい道で帰り道だからと車で送って下さった。 今夜はラドン温泉の瀬戸内荘で嬉しいことに一泊二食付きである。 今日は9時前より降りだした雨は一日中止むことが無かった。雨中折りたたみ傘をさしながら7ケ寺打ち続け結局9時間近くの道行となった。 ===続く====
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