四国88か寺 自転車めぐり  
第一章 10/3-10/4


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2001年11月06日
【チャリ遍路記−輪子と共に】

このたび1200年の歴史を刻んでいる四国巡礼の旅に出かけた。
かねてから何となく憧れ体験してみたかった巡礼旅で深い信仰心や特定の目的を持ってはいなかった。 強いて言えば身体健全な今、自分自身のための生前供養という気持ちが心の片隅にあった。
 期間は10/3より10/12の予定で、新しく調達したマウンテンバイク(MTB:輪子と命名)が道連れである。 行けるところまで行こうという行き当たりばったりの気侭な一人旅である。宿の予約は一切しなかったが野宿は頭にはなかった。 MTB遍路の先輩Y氏より地図と適切なアドバイス頂戴した上インタ−ネットで詳細な情報や参考になる情報を入手した。
  MTB初めての新米チャリダ−は20K走行一度行なっただけで他に格別のトレ−ニングなしのブッツケ本番とも言えた。(後に高くて痛いツケがまわってくる)
  経路は和歌山港より徳島へフェリ−で渡り札所を巡り、帰りは未定でその時点で考えることにしていた。 今回は体験談中心に感じたことを卒直に綴り、史実やお寺の解説等には触れないこととします。

-----------10/3(水)晴 6:30自宅出発 16:20ホテル着 走行108KM --------

 当初6K走行するのに35分もかかった。理由はザックを後部キャリヤ−に乗せたが度々後輪に触れて走れなくなった。未熟で6KGのザックをキャリヤ−にしっかりと固定できないのである。
 仕方なくザックを背負って走ることにしたが私の負担は大きい。途中で「郷原君!」と呼ぶ声で停止した。声の主はなんと懐かしい同窓生のSさんである。先ほどのトラブル忘れて幸先良しとルンルン気分で走りだしたが10数分後下り坂の急ブレ−キで前方へ投げ出された。
  眼鏡の枠がはずれ左眼周辺から出血したがメンタムで応急手当てして再び走行。以後注意深くペダルを踏み続けたが70KM過ぎた頃左足が痙攣に見舞われた。新しい輪子に馴染んでなくトレ−ニング不足が如実にでてきた。
  登り坂になり脚への負担が増すとつってくるので押して歩いた。和歌山の手前、車道走っていて大型ダンプに追い立てられて二度目の転倒。18K/H程度の速度で車道から歩道へシフトする際、段差をクリヤできず左側へ横転。左手左膝の擦過傷で出血し、MTBはチェインがはずれライトが壊れて部品が散乱した。ここでも応急処置で急場を凌いだ。 疲労で体が思うように動かず平生できる動作ができなくなっているのに気付き、徳島泊から和歌山泊に予定変更した。
 投宿して近くの商店街で眼鏡の修理や薬類購入して傷の手当てを行った。 明朝体調や傷の経過を見て撤退も含めて行動を決めることとした。左眼尻の内出血の程度や傷口の化膿が気がかりである。輪子のライトはなんとか修復できたので明るい気持ちとなり一安心。
 旧知の中華料理店へ出向きビールと懐かしい味の料理で鋭気を養った。夕食の前後二度入浴し傷の手入れを丹念に行い消毒の奏功を祈ってオヤスミ。

----10月4日(木)晴 6:00ホテル出発 17:20旅館八幡着 走行62KM -----

 歩き2K 5時起床、幸いにも左眼の内出血は小さく、傷口も化膿していないので予定通り旅を続けることにした。
 サドルに跨ると尻がすぐ昨日の感覚を取り戻し嫌がった。和歌山港手前のコンビニでおにぎりとお茶を買いフェリ−待合室にてゆっくりと朝食摂った。
  9:20分徳島港に着きいよいよ四国88ケ所巡りの走行開始。 コンパスと地図をチェックしながら北西へと走り、一番札所霊山寺に着いたのは11時過ぎだった。
  予め学んできた手順に則り、山門→本堂→大師堂→納経所と廻って一寺落着である。 十番の切幡寺で本日の打ち止めで少しホッとしたが最後333階段の関門はきつかった。
  一ケ寺平均20分程の滞在で10箇所巡るとどこがどうだったやら印象が薄い。チャリ遍路は見かけず今日はオンリ−ワンの存在だった。書物によると遍路案内が充実しているとあったが実感できず7度道を尋ね3度のOB、ロスした距離は5Kをはるかに超えた。
 八番から九番へ走行中、車の若者に呼び止められ宿泊のキャッチセ−ルス。これも何かの御縁と思いお世話になった。
 今日は明るいお天道様の下ひた走り転倒もせず点灯も必要なかった。 食堂では静岡からの歩き遍路の方と同世代のせいか会話が弾み、楽しい食事となり疲れが和らいだ。
  就寝前ふっと頭に疑問が浮かんだ。"七転八起"という言葉があるがロジックがおかしいのでは・・・。 昨日"二転二起"した実績から"七転七起"が正しいのでは帰ったら調べようと思っている内にいつの間にか眠りこんでしまった。
(広辞苑:七たび転んで八たび起きるの意「人生には浮き沈みが甚だしいことのたとえ」とあり疑問解けず) →次回へ続く
記:郷原 秀昭さん イラスト:はまだひろこさん
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