縁と相性
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2002年2月05日


 人と人との縁やつながりは、計算して出来るものではない。 しかし出会いを重ねること、人間関係をつくることが仕事になる場合だっ てある。会社に入って営業に配属されたケースなど、そうだ。 初対面の人に会って名刺を渡し、名前を覚えてもらうことから始まる。
 考えてみれば、いまの同僚とも入社直後は初対面だった。子どもも進入学 した時点では同じようなものだ。そこから関係を築いていく。終生離れ がたい仲間になることもあれば、男女だと結婚までいく可能性だってある。 知り合ってアッという間に仲良くなれる人がいれば、時間のかかるタイプも いる。
 どうやら「相性」という、いわく言い難いものがからんでいるようである。 ひと昔前によくいわれた「フィーリング」だろうか。理屈では説明しにくい、 感覚的なものだ。

 公共工事をめぐって政治家元秘書の「口利き屋」ぶりが問題になっている。 建設土木業者と官公庁の双方に、政治家の名をちらつかせて接触し、受注工作 をする。人脈づくりの仲介役、代行を商売にしていたようである。
 仕事だけを考えれば目的は成果を生むことにあり、人脈づくりは手段だとは いえ、利権に群がるだけの、カネ至上の打算的な人脈というのは、何とも むなしいではないか。

 仕事相手と相性もよく、結果もOKというのが理想だろうが、これも度が 過ぎると、なれあいが生じて仕事の面ではマイナスにつながる。頃合いがむつ かしいのである。  望んで、望まれて一緒になったはずの夫婦でさえ離婚することがある。 相性というシロモノ、一筋縄ではいかない。成果など気にしない、ほどほどの つきあいの中に、縁の真髄があるのかもしれない。


読売新聞大阪本社勤務 蔵楽 知昭さん

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