お金ってなあに?? 
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2001年12月18日

 「おばちゃん、こんにちは、今塾の帰りちょっと寄ってみた。」
おばちゃんとちがうでぇ、おねえちゃんといいや。しゃない子やな、
なに?おなかすいた、もうちょっとしたら晩御飯やんか。辛抱しい。
辛抱ええ言葉やな、辛さを抱く。堪え難さをおさめもつ。
今日びの子にわからんやろなぁ、我慢とちゃうでぇ。  

「おばちゃん、お金ってなあに」
なんや、藪から棒に、何回言うたら わかるねん。おねえちゃんといいや。
そらぁ、大事なもんや。おばちゃんかて、ちゃうちゃう、 おねえちゃんかて、毎日必死で働いているけど食べていくだけで せいいっぱいや。お金にはとんと縁がない。せやけど、今の日本で 生きていくんやったら、借金という手があって、学校へいくことも 海外旅行へいくこともマイホームですら、簡単に手にはいるなぁ、 極貧なんて言葉、すたれてしまったなぁ、幸せなことや。
 煩悩って知ってるか、ちょっと難しいかなぁ。そのなかのひとつに 金銭欲ていうやっかいなもんがあるんや。
それは、そう、貧乏といっしょでときとして、野心や仕事の 原動力になるねんなぁ、ええとこやねんから、ぽかーんと口あけてんと、 よう聞いときや。大阪はあきんどの造りあげた町や、大阪ぐらいや 儲かりまっかてな挨拶するとこ。
  昔、西鶴はんってえらいひとがいやはってなぁ、晩年金銭と人間の 対決を主題に小説を書かはったなぁ。
 でも、お金の位置って低いなぁ。お金のことはむきだしに、話したら あかんでぇ。品がないちゅうもんや。
「おばちゃん、せやから、お金ってなんや」
もっと学校で 教えなあかんなぁ。世界のなかで、日本だけやお金のことを、 義務教育で教えへんのは。

なに?おなかすいた、もう帰りや。
大きゅうなったらきばって働いてお金儲けしいや。
それがなんぼのもんや。
ええこと言うやん。
感心してる場合や ないで。気品低い大阪弁や。けど好きやなぁ。
なんぼのもんや。 そうそう、金銭と人間の対決のことやけど、金銭というフィルターを とおして見ると、その人の本質がよくわかるんやなぁ。

 

秋田 佳津さん
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