2002年07月02日 「風のささやき」
小池さん写真小池さんの健康シリーズ第2回

    あ・うん の呼吸

2002年7月02日
生活習慣病予防指導士
小池 喜四雄


この世の中に生まれ出た時の第一呼吸は、"おぎゃ―"と泣いて大きな声を出すことでした。胎児期にすでに"呼吸様運動"が確認されているとはいえ、肺に空気がない状態でいきなり声を出すことはできません。まずは空気を肺に取り込んでから一生の間お世話になる"呼吸"を開始します。
 産道からこの世に出てきた時は、少なくとも無呼吸(無酸素)の状態が少し続きますので顔は青くなってきます。このときあるきっかけがあって空気が吸い込めるようになるのです。酸素が肺に満たされれば、もうしめたもの、あとは全身に血液が供給されて、文字通りまっかな赤ちゃん誕生として祝福されることになります。
 ではどんなきっかけによって呼吸を始めることができるのでしょうか。
助産の方が背中をぽんと押してあげる、臍帯を切られる、全身を空気にさらされる、(極めてまれには酸素注入)などの一つまたはいくつかの要因で呼吸が開始されると言われています。まだまだ神秘的な領域に感動します。
 
 それではこの世からさようならをするときは息をはきますか吸いますか?
昔から"息を引き取る"と言われているように、いきをすいこんで吐くことができなくなった"その時"を、臨床の先生は"今です"と教えてくれます。いつも何気なくしている"息を吸い、息を吐く"という行為は人間にとって、とてつもなく大事な、基本的な行動なのです。

あ 信州の善光寺や奈良の東大寺にある"仁王門"。 寺の本尊を守護するために門の両端に位置しますが、二体の仏像(金剛力士像)のうち一方は口をあけ「ア=阿」、もう一方は口を固く結んで「ン=吽」の姿をしています。この「阿吽」の二字は密教の世界観に通じる言葉で、すべての始まりと終わりを表していると言われています。 ん

 赤ちゃんの口をあけたおぎゃ-、最後の息を引き取って口をつぐむ形も、また日本語の五十音がアから始まってンで終わるのも無縁ではないようです。
赤ちゃんの時には、安心安全な環境の中でゆっくりした腹式呼吸をしていたのに、いつのまにかストレスを背負い込み、肩で浅く息をするようになってしまっている自分に気づくことがあります。
 いつまでも元気で長生きするために、腹式呼吸を取り入れて、ゆったりと大きい呼吸を意識してこころがけてみませんか。あなたのご健康を心よりおいのりしています。

今回は産婦人科医昇先生にサゼッションいただきました。ありがとうございました。


小池喜四雄さんのプロフィール:大手電機メーカーを退職後、第二の人生を有意義に生きるためにあらゆる角度から考えておられます。
 生活習慣病予防指導士、シニアライフアドバイザー、太極拳準師範、として活躍しておられます。また、健康のために自ら有機野菜を栽培され、風の会ホームページでも取り上げさせていただいてます。 編集後記 :小池さんの健康シリーズを随時連載していきます。