2002年08月06日「風のささやき」

理想郷づくりを夢見た仲間たち

NPO法人シルバー大阪21協会
会長 藤岡 聖三さん

昨今、テレビや新聞を賑やかした田中真紀子議員の父親が総理大臣になった今から30年程前、経済的に遅れた裏日本に陽をあてる、町づくり国造りを計画した日本列島改造論が、賛否両論で揺れた事がありました。それよりも20年前に、日本の将来は質素で簡素で恵まれた自然を大切にした農耕一体の国造りが望ましい、そうした国造りのモデルとなる村づくりを夢見て、20歳前後の若者10人が、京都府の北の小さな夜久野村に集った。 山を切り開いて畑を作り食糧を確保して、小さな町工場を建てて機械の部品を造って現金収入で生計を立てる。今日ならそれほど難しい話でも計画でもないが、当時はそんな事を理解してくれる人は少なかった。

 理想と現実のギャップは大きく、現実は厳しくなかなか計画通りには行かない。毎日毎日主食は山を切り拓いて作った山畑から取れるわずかな陸稲と、そばと、甘藷とカボチャの雑炊。今でこそ出石そばとか、手打ちそばとか珍重がられているが、当時は腹の足しになるだけの代物で食べ盛りの若者の主食にはあまりにもお粗末で、物足りない。70歳になる村の長老も一度しか登った事がないと言う奥深い山でバスの燃料となる炭焼きをして、資金づくりをしたり、まるで仙人か山猿のような生活も理想郷づくりに燃えた青年時代は楽しかった。一緒に頑張った当時の仲間も一人又一人とお盆にだけ帰ってくる遠い縁の人となって行く。

 70を過ぎて人生とは、自分の一生とは、と思いを重ねる時、今尚楽しい時も、切ない時も、その時その時、折々にご縁の有った先輩や友人によって、助けられ救われて生きている事に唯唯感謝感謝。これから先も素晴らしいご縁に結ばれて生きて行ける事を念じながら、もうひと頑張りしますか。 

※藤岡さんプロフィール
1980年、ボランティア団体として協会を発足。シルバーサービス相談室を開設し、健康、医療、福祉、生きがいの助言を行い、高齢化社会が抱える様々な問題に取り組む。現在、ホームヘルパー養成講座、シルバー英会話教室、短期海外語学体験留学などで、活躍中。
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