@ほーむ
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2001年9月25日
 
「べサニー・チェイターさん! 起きる時間ですよー!」とママ。
「はーい」
時刻は朝7時前。 べサニーがえんじ色の制服を着て2階から降りてくる。
「ママ、ミルクとって」と、べサニーが言う。
「べサニー、ミルクとって下さいでしょ」と、ママがべサニーの言葉づかいを正す。

べサニー6才、アリス3才。ママ30代後半。パパ不明。
イギリスはドーバー海峡の近くにほんの少しの間、ホームステイさせてもらっていた 普通の家族。失礼かもしれないが、決して裕福ではない。 その普通の家族の朝は、忙しい中にも躾を忘れない。 お願いするときは"please"をつけなさいと注意する。

べサニーもアリスも私にすぐなついてくれた。
"Keiko"、 "Keiko"、と名前で呼んでくれる。
それもそのはず、べサニーやアリスが私のことを"she"と代名詞で呼んだら、 "Keikoと呼びなさい"とママやパパに注意されるから。


さすが個人を尊重する国、イギリス。
親と子供の距離のとり方が、日本と全然違う。
べサニーは6才にして、大人として扱われているように見えた。
パパも言い聞かすときは、時々"young lady"と呼びかける。
そして、娘たちがパジャマ姿で家の中をうろうろしていると、"着替えてきなさい"と注意する。

私の家と比べてみた。
朝は「敬子―!起きやー!」で始まる。
しばらくすると「起きてるー?」と再確認。
「起きてるよーうるさいなー」と私が返事する。
最初の大きい第一声で、起きないはずがない。 「制服にアイロンあててくれた?」「ハンカチは?」朝ごはんは時間があれば食べる。
嵐のようにバタバタして、私は家を出る。

私がベサニーやアリスのように躾られていたら、もう少し上品で芯の通ったLADYになっていたかも しれない。
もし、日本の親が子供ともう少しうまく距離をとれたら、過保護で子供をだめにすることはないかもしれない。

でも、やっぱり私は親には「敬子―!」と言って欲しいし、親に頼みごとをするときに"please"はつけたくない。
休日はパジャマで家の中をうろうろしたい。
私にとって家族は気取らずにほっとできる空間であってほしい。

 

風の会スタッフ 多久 敬子

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